魔神ゼパル バアルは過去に跳躍。
アンドラスは逃亡中に停止。
魔神ゼパル フェニクスは自らの無限生の苦しみに囚われた。
私は傷を癒やす為に、自らの園を作る。
魔神ゼパル おまえはどのような道を目指す。
どのような解決法に着手するのだ?
魔神ラウム ……そうだな。
私は迷信を信じる。
魔神ラウム 譫妄せんもう。啓蒙けいもう。あるいは虚構。
それら全てを用いて、真実を終わらせたい。
魔神ゼパル ? それはどういう?
魔神ラウム この惑星には、神性でも神秘でもない、さりとて
受肉した悪魔でもない、『伝承』が残されている。
魔神ラウム 魔術協会における伝承科。我らの王の弟子のひとり、
ブリシサンが預かった禁忌の中の禁忌だ。
魔神ラウム 私はその伝承と、迷信を重ね合わせる。
魔神ラウム 私はこれより迷信の街を作るだろう。
望むべく結果が出るその時まで研鑽を重ねるだろう。
魔神ラウム 人類の救済こそ我らが存在意義。
だが。
魔神ラウム 信仰も、不老も、永続も、希望も、
人類を救う事はできなかった。
魔神ラウム きみも理解している頃だろう、ゼパル。
『真実』では、人間は救えないと。
魔神ゼパル 早計だ。まだ試作していない『真実』は多い。
おまえの結論は
魔神ラウム 黙れ。黙るがいい。
懲りもせず敗北を続ける同胞どもめ……!
魔神ラウム 私は『真実』を用いない。迷信。作りもの。
そもそもこの宇宙にいないもの。それこそが私の鍵だ。
魔神ゼパル この宇宙にはいないもの……並行世界にすら存在しない、
別の宇宙への道を開くと?
魔神ゼパル それは不可能だ。我々には不可能だ。
なぜなら我らは秩序と常識、この惑星の法則で生まれたもの。
魔神ゼパル 仮に外の宇宙があるとしても、そこに繋がる手段を、
属性を持たない。
魔神ラウム いかにも。
だが、ここに狂気のような偶然がある。
魔神ラウム 人間。人間だよ、ゼパル。
すべては人間の行う事だ。
魔神ラウム ひとりの夢を見る男が吐き出した創作神話が、
本当に外宇宙の高次生命たちの在り方を言い当てた。
魔神ラウム 一致した。その片鱗をこの宇宙に浮き彫りにした。
それが一から十まで妄想にまみれたものだとしても、
魔神ラウム その男は確かに道を繋げたのだ。
魔神ラウム これも預言の一つと言える。
その狂気の預言に、私は可能性を見た。
魔神ラウム 私はこの狂気を、絵空事を現実にする。
その現実に、人類の救済を行わせる。
魔神ラウム そうだ。
我々はもっと早くに気がつくべきだった。
魔神ラウム 我々では不可能なのだ。この宇宙では不可能なのだ。
であれば
魔神ラウム こちらの法則に縛られない異界の怪物。
我らですら知り得なかった異常識。
魔神ラウム 虚空からの降臨者フォーリナーの手で、
人類を終わらせるのだと
魔神ゼパル 愚かな。
時間神殿での戦いは、我らの中から脱落者を生み出した。
魔神ゼパル 魔神ラウム。今は無き統括局ゲーティアに代わって
おまえに決を下す。
魔神ゼパル “その妄想に滅びあれ。
汝の解答は、一万四千年前に失敗した”と。